現代日本にはさまざまな宗教団体が存在します。その中でも、街中での積極的な勧誘が目立つ団体の一つが「顕正会(けんしょうかい)」です。
この記事では、顕正会の教義や実際の被害例、道端での勧誘の実態、そしてトラブルに巻き込まれないための対処法を、分かりやすく解説します。

顕正会とはどんな団体?
顕正会(けんしょうかい)は、正式には**「冨士大石寺顕正会(ふじたいせきじ けんしょうかい)」といい、1970年代に設立された日蓮系の新興宗教団体です。現在の会長は浅井昭衛(あさい しょうえい)氏**で、彼の思想と教えを中心に組織が運営されています。
創価学会との関係と分裂の経緯
もともと顕正会は、戦後急成長した宗教団体である**創価学会の一部だった組織「妙信講(みょうしんこう)」**を前身としています。この妙信講は、1950年代に浅井昭衛氏が創設し、日蓮正宗(にちれんしょうしゅう)の流れをくんだ在家信者団体として活動していました。
しかし、創価学会の教義・姿勢に対する批判や対立が強まり、1974年に創価学会と決裂。最終的に日蓮正宗からも破門され、独立した団体として「冨士大石寺顕正会」と改称しました。つまり、創価学会 → 妙信講 → 顕正会という流れの中で生まれた団体です。
本部と組織の規模
顕正会の本部は、**埼玉県さいたま市大宮区にある「顕正会本部会館」**に置かれており、定期的に全国から会員が集まる大規模な集会や幹部会が開かれています。また、全国に地方拠点を持ち、各地で街頭布教や戸別訪問、集会の開催を行っています。
会員数については、団体側は「数百万人規模」と主張することもありますが、実際の活動会員は数十万人程度ではないかと見られています。
顕正会の特徴的な体制
- カリスマ的指導体制:浅井会長の著書や講演、指導が絶対視される傾向があります。
- 機関紙『顕正新聞』の発行:布教や思想啓発に使われ、会員の多くが購読。
- 青年層への積極的アプローチ:大学生・若者への街頭勧誘が非常に活発。
- 勧誘重視の組織構造:会員が折伏(しゃくぶく)=布教・勧誘することを重要な使命とされている。
社会的な評価と問題点
顕正会は、宗教法人として法的に認められている一方で、強引な勧誘や家族間トラブル、脱会者からの相談などが後を絶ちません。
特に10代~20代へのアプローチが多く、精神的に不安定な時期に信仰へ導かれた結果、学校や家庭、職場での人間関係に悪影響を及ぼすケースも報告されています。
このように、顕正会は日蓮宗系の信仰をベースにしつつも、独自の教義や活動方針を強く打ち出している団体です。
次に、この顕正会がどのような教えを持ち、どのように活動しているのかを詳しく見ていきましょう。

顕正会の教義と思想
顕正会の教えには、一般的な仏教団体とは異なる独自の思想が含まれています。
国立戒壇の建立を目指す
顕正会の最大の使命は「国立戒壇(こくりつかいだん)」の建立です。これは、日本国家が仏法(日蓮の正法)を国教のように据え、国の中心に寺院を建てるという構想で、現代の民主主義社会とは異なる思想です。
広宣流布(こうせんるふ)の実現
顕正会では、日蓮の教えを全国に広めること(広宣流布)を目指しており、そのための活動を熱心に行っています。
他宗派への批判
特に創価学会や日蓮正宗、法華講など、同じルーツを持つ団体に対して強く批判しており、顕正会の講演や資料では他宗派を「邪教」とする言葉も見られます。

顕正会の勧誘手口|道端や街中での注意点
顕正会は、道端や街頭での勧誘活動が活発な団体としても知られています。特に大学周辺や駅前、人通りの多い場所での声かけが多く見られます。
よくある勧誘のパターン
- 「ちょっとアンケートに答えてもらえますか?」
- 「人生について考える集まりがあるんです」
- 「意識の高い人にお声がけしてるんですが…」
このように、宗教団体であることを伏せた状態で近づいてくるのが特徴です。話の中でだんだんと「地震や戦争は仏法を信じない日本への警告」といった内容に移り、最後には住所・電話番号の記入を促されることもあります。

顕正会による実際の被害例
顕正会の勧誘や入信によって生じた被害は、ネット上や相談機関を通じて数多く報告されています。
学生が友人に誘われて精神的に追い詰められたケース
ある大学生は、友人から誘われた会に参加した結果、連日のように「今のままでは不幸になる」と言われ精神的に疲弊。断ろうとすると「地獄に堕ちる」などと脅され、親が弁護士に相談する事態に。
家族内トラブルの発展
親が顕正会に入会したことで、仏壇の供養や法事のやり方を巡って家族と衝突。「これは正しい供養ではない」と言われ、家庭内の雰囲気が悪化したという声も。
恋人・友人関係の破綻
恋人に顕正会入会を勧め、「信じないなら価値観が合わない」と言われ破局した事例や、友人に信仰を断られ関係が絶たれたといった例も見受けられます。

顕正会の勧誘を上手に断る方法
勧誘を受けた際に、はっきりと拒否するのは大切ですが、きつい言い方をすると相手を刺激してしまう恐れもあります。
そこで、やわらかく、しかし毅然とした断り方を心がけましょう。
宗教勧誘をやんわり断るフレーズ例
- 「お気持ちはありがたいのですが、信仰については自分で考えたいと思っています」
- 「すみません、今はそういったお話を受け入れる余裕がなくて…」
- 「勧誘そのものを控えているので、どうかご理解いただければ幸いです」
上記のような表現であれば、相手に失礼なく、はっきりと断る意思を伝えることができます。
それでもしつこい場合は…
- 「ごめんなさい、これ以上のやりとりは控えさせてください」
- 「これ以上続くようなら、公的な相談機関に相談することになります」
あくまで冷静に、落ち着いた対応を心がけましょう。

顕正会と関わってしまった場合の対処法
もしすでに名前を書いてしまった、会に参加してしまったという場合でも、無理に付き合い続ける必要はありません。
- 勧誘の連絡を断っても問題ありません
- しつこい場合は、消費生活センターや宗教トラブルに詳しい弁護士への相談も視野に
- 「名前を書いたから抜けられない」ということはありません
必要以上に恐れることなく、正しい情報とサポートを活用しましょう。
宗教との付き合い方を見直すきっかけに
宗教は本来、人の心を豊かにし、日々の生活に安心をもたらす存在であるはずです。
しかし、その自由を利用して他人の心に不安を植え付けたり、関係を壊したりする行為は、どれほど信仰に基づいていても許されるものではありません。
心が弱ったときほど、何かに頼りたくなるのは自然なこと。だからこそ、宗教に出会ったときは、「これは本当に自分のためになるものか?」と、一歩引いて考えることが大切です。

まとめ|顕正会に注意し、信仰は自分の意思で選ぶもの
顕正会のように、熱心な勧誘を行う宗教団体と出会う機会は、私たちの生活の中にも意外と潜んでいます。
信仰は自由であるべきもの。
でもその自由は、「自分の心と身体を守ること」と、常にセットで考える必要があります。
情報を知ることは、自分を守る第一歩です。
ぜひ、この記事がそのきっかけとなれば幸いです。