
■はじめに:誰が書いたの?って、実はすごく深いテーマ
「聖書って、誰が書いたの?」
このシンプルな問いかけに、即答できる人って意外と少ないかもしれません。
なぜなら、「聖書=神の言葉」とされているけれど、実際には人間の手で書かれたという不思議な二面性をもっているからです。
宗教に特別関心がなくても、日本のマンガや映画、世界史の授業などで「モーセ」「パウロ」「ダビデ」といった名前を見聞きしたことはあるかもしれません。
でも、彼らが聖書の“作者”としても活躍していたと知る人は少ないのではないでしょうか。
今回はそんな聖書の背景を、「作者」という切り口からのぞいてみたいと思います。
■「聖書」は一冊の本ではない!?まずは基本の整理から
まずお伝えしたいのは、「聖書」は実は一冊の本ではないということ!!
私たちが「聖書」と呼んでいるものは、実際には**66巻(カトリックでは73巻)**の文書が一冊にまとめられた“本の集合体”です。
この中には、以下のようなジャンルの文章が含まれています。
- 歴史書(国の成り立ちや王たちの記録)
- 詩(神への祈りや賛美)
- 預言(神からのメッセージ)
- 手紙(信者同士のやりとり)
- イエスの生涯(福音書)
そしてこれらは、およそ1500年にわたって、約40人以上の著者によって書き継がれたものなのです。

■聖書の作者たちはどんな人たち?
では、その「40人の著者」とは誰なのか?
彼らは一部の神官や宗教家に限らず、さまざまな職業・背景をもった人物たちでした。
名前 | 背景・職業 | 書いたとされる文書 |
---|---|---|
モーセ | 民族の指導者・預言者 | 創世記〜申命記(モーセ五書) |
ダビデ王 | イスラエルの王、詩人 | 詩篇の多く |
ソロモン王 | 知恵者、ダビデの子 | 箴言、伝道の書、雅歌 |
イザヤ、エレミヤ | 預言者 | それぞれの預言書 |
マタイ、マルコ、ルカ、ヨハネ | イエスの弟子やその関係者 | 福音書(新約の冒頭) |
パウロ | 元パリサイ派、改宗後に宣教者 | ローマ書〜テモテへの手紙など13書簡 |
彼らの共通点は、「神からのメッセージを人々に伝えようとした」という信念。
その手段として、記録し、書き残すことが選ばれたのです。

■イエス・キリストは書いていない!?驚きの事実
ここでちょっとした衝撃の事実をお伝えします。
🎉びっくりポイント:イエス・キリストは、聖書を一文字も書いていません!
「えっ、聖書の中心人物じゃないの?」と思われる方も多いかもしれません。
たしかに、新約聖書はイエスの生涯や言葉が多く記されていますが、イエス自身が著した文書は存在しないんです。
イエスの教えや奇跡、死と復活はすべて、弟子たちや後の信者たちが記録として残したもの。
その意味で、聖書は「本人の自伝」ではなく、「周囲の人々が書いた記録集」なのです。
これは、歴史の伝わり方としてもとても興味深い点ですよね。

■人間が書いた。でも「神の霊感によって書かれた」という考え方
ここで疑問が出てくるかもしれません。
「じゃあ、結局これは“人間の考え”なんじゃないの?」
これに対して、多くのキリスト教信仰では次のように説明されます。
聖書は人間が書いたけれど、神の霊感(インスピレーション)によって書かれたものである。
つまり、書き手のペンを動かしたのは人間であっても、その背後にある“執筆の動機”や“メッセージの源泉”は神であるという考え方です。
これは音楽に例えると…
- 作曲家(神)がいて、
- 演奏者(人間)が奏で、
- 聴く人(読者)に届けられる
そんなイメージにも近いかもしれません。

■旧約聖書と新約聖書、それぞれの特徴と作者たち
◆旧約聖書(ユダヤ教の聖典にもあたる)
- 時代背景:紀元前1500年〜紀元前400年ごろ
- 主な著者:モーセ、ダビデ、ソロモン、イザヤ、エレミヤ など
- 内容の特徴:
- イスラエル民族の歴史
- 神との契約(十戒など)
- 預言(未来の出来事の告知)
- 詩や知恵の文学
◆新約聖書(キリスト教の中心)
- 時代背景:紀元30年ごろ〜紀元100年ごろ
- 主な著者:マタイ、マルコ、ルカ、ヨハネ、パウロ など
- 内容の特徴:
- イエスの誕生、教え、奇跡、死と復活(福音書)
- 教会への手紙(書簡)
- 終末に関する預言(黙示録)

■なぜ40人もの著者が必要だったのか?
これもひとつの謎ですが、こう考えることができます。
- ある人は歴史を記録し、
- ある人は詩で信仰を表し、
- ある人は手紙で教えを広めた
さまざまな視点や立場から語られることで、聖書はより多角的で、人間らしさのある書物になっているのです。
40人の著者がそれぞれの言葉で語りながら、全体としては一つのメッセージに向かって進んでいく——
それが聖書の魅力でもあります。

■おわりに:今も読み継がれる“神と人の共同作品”
約2000年以上も前に書かれた言葉が、いまも世界中で読まれている。
しかも、それが宗教書としてだけでなく、
- 芸術や文学のテーマに、
- 倫理や哲学のベースに、
- そして日常の生き方のヒントに
なっているという事実には、やはり驚かされます。
「聖書の作者たち」に注目すると、聖書が“神の本”であると同時に、“人間の声”が詰まった書物であることが見えてきます。
信仰の有無に関係なく、一度ページをめくってみたくなる——
そんな気持ちになれたら、もうそれが「神の霊感」のひとつかもしれませんね。
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