はじめに|衝撃の現場体験から学んだこと
「葬儀屋の仕事」と聞くと、厳粛で静かな儀式の場面を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
しかし、実際の現場は必ずしも“整った姿のご遺体”ばかりではありません。
私が新人の頃に経験した「腐乱死体」との初対面は、まさに衝撃的な出来事でした。
今回はその体験を正直に語りながら、葬儀屋として学んだ心構えをお伝えします。

第1章|最初に直面した「腐敗した遺体」の姿
新人として現場に同行したある日、私が迎えたのは孤独死による腐敗が進んだご遺体でした。
部屋に入った瞬間、強烈な臭気が漂い、皮膚は変色し、通常の安置とはまったく異なる光景。
正直なところ「本当に近づけるだろうか」という恐怖と躊躇いがありました。
ですが、葬儀屋としての役割は「目を背けずに、最後まで寄り添うこと」。
その意識だけを支えに、私は一歩を踏み出しました。

第2章|現場での対応と処置
腐敗が進んだご遺体には、通常以上の処置が求められます。
- ドライアイスを多めに使用して腐敗を抑える
- 消臭剤や専用資材で環境を整える
- ご遺族にできるだけ負担をかけないよう迅速に対応する
これらはマニュアル通りの作業ではありますが、実際に現場に立つと想像以上の緊張感がありました。
「故人の尊厳を守りつつ、ご遺族が対面できるように整える」──この意識が、手を動かす原動力となりました。

第3章|心の葛藤と葬儀屋としての覚悟
初めて腐乱死体に向き合ったとき、心の中では「怖い」「気持ち悪い」という感情が渦巻いていました。
しかし同時に、「この方も大切な人生を歩んできた一人」であることを思うと、不思議と覚悟が芽生えました。
葬儀屋は“死”そのものに向き合う仕事。
だからこそ、どんな最期の姿であっても「尊厳を守る」という信念が必要なのだと気づかされたのです。
第4章|学んだこと──どんな最期にも寄り添う姿勢
この体験を通して私が学んだのは、次の3つです。
- 恐怖を超えて、尊厳を優先すること
- ご遺族の気持ちを守るために、できる限り整えること
- 葬儀屋自身も“心の準備”を持ち続けること
孤独死や腐敗が進んだ遺体に直面することは、決して珍しいことではありません。
ですが、どんな姿であっても「最期の一人」として誠実に向き合う姿勢が、葬儀屋には求められます。
まとめ|衝撃体験は「使命感」に変わる
新人時代に直面した「腐乱死体」との出会いは、私にとって忘れられない出来事です。
恐怖もありましたが、その先にあったのは「葬儀屋として人の最期を支える」という強い使命感でした。
読者の皆さんにとっても、この体験談が「死や葬儀を考えるきっかけ」になれば幸いです。
