お葬式に参列できないとき、故人への哀悼の意を伝える手段として弔電があります。しかし、弔電のマナーや適切な文面を知らないと、失礼にあたることも。今回は、弔電の基本から文例、避けるべき表現まで詳しく解説します。
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1. 弔電とは?
弔電とは、葬儀に参列できない場合に、電報を通じて故人への哀悼の意や遺族へのお悔やみの気持ちを伝えるものです。一般的には、葬儀会場や喪主宛に送られます。NTTや郵便局、民間のサービスを利用すれば簡単に手配でき、近年ではインターネットからの申し込みも可能です。
日本では、弔電は独自の文化として発展してきました。もともとは手紙で弔意を伝えることが一般的でしたが、電報が普及するにつれ、短いながらも格式のあるメッセージとして活用されるようになりました。特に企業間の関係や公的な場面で用いられることが多く、現在では法人からの弔電も珍しくありません。
また、弔電にはさまざまなデザインの台紙があり、紙の質や装飾によって印象が大きく変わります。一般的な台紙のほかに、和風のものや蓮の花をあしらったもの、高級感のある漆塗り風のものなどがあります。最近では、故人の趣味や人生に合わせたデザインを選ぶことも増えてきています。
2. 弔電を送るタイミング
弔電は、葬儀・告別式の開始前までに届くのが理想的です。具体的には、以下のようなタイミングで手配すると良いでしょう。
- 通夜の前日夜~当日朝の手配がベスト
- 告別式の直前までには届くように手配する
- 早すぎると混乱を招くこともあるため、適切なタイミングを意識する
- 地域によって葬儀の流れが異なる場合もあるので、事前に確認が必要
特に地方によっては葬儀のスケジュールが異なることがあるため、訃報を受けたらできるだけ早めに遺族や葬儀社に確認し、適切なタイミングで送るようにしましょう。
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3. 弔電の基本的な構成
弔電の文章は、以下の流れで構成すると自然です。
- 故人への哀悼の意
- 「〇〇様のご逝去の報に接し、心よりお悔やみ申し上げます。」
- 「突然の訃報に接し、驚きと悲しみにたえません。」
- 遺族へのお悔やみの言葉
- 「ご遺族の皆様のご心痛をお察し申し上げます。」
- 「どうかお力を落とされませんようお祈り申し上げます。」
- 結びの言葉
- 「心よりご冥福をお祈り申し上げます。」
- 「安らかなるご永眠をお祈りいたします。」
4. 弔電の文例(関係別)
一般的な弔電
「〇〇様のご逝去の報に接し、心よりお悔やみ申し上げます。ご遺族の皆様のご心痛をお察し申し上げますとともに、〇〇様のご冥福をお祈りいたします。」
親しい友人・知人への弔電
「突然の訃報に接し、言葉もありません。〇〇さんには生前、大変お世話になりました。その温かい笑顔を忘れることはありません。心よりご冥福をお祈り申し上げます。」
会社関係(取引先・上司・同僚)
「〇〇様のご逝去の報に接し、社員一同、深い悲しみに包まれております。生前のご厚情に心より感謝申し上げ、謹んで哀悼の意を表します。」
遺族が喪主(親)の場合
「ご尊父(またはご母堂)〇〇様のご逝去の報に接し、心よりお悔やみ申し上げます。ご家族の皆様のご心痛をお察し申し上げますとともに、〇〇様のご冥福をお祈りいたします。」
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5. 宗教別の弔電マナー
仏教(一般的な弔電)
「〇〇様のご逝去を悼み、謹んでお悔やみ申し上げます。ご家族の皆様におかれましては、どうかお力を落とされませんようお祈り申し上げます。」
神道
「〇〇様のご逝去を悼み、謹んで哀悼の意を表します。ご遺族の皆様のご心痛をお察しいたしますとともに、〇〇様の御霊(みたま)が安らかならんことをお祈り申し上げます。」
キリスト教
「〇〇様のご永眠の報に接し、深く哀悼の意を表します。ご家族の皆様が主の御許にて慰めを得られますよう、心よりお祈り申し上げます。」
6. 弔電で避けるべき言葉(忌み言葉)
弔電では、縁起の悪い表現を避けるのがマナーです。
① 重ね言葉(不幸が続くことを連想)
- NG:「たびたび」「くれぐれも」「いよいよ」「ますます」
- OK:「深く」「誠に」
② 不吉な言葉(死や苦しみを直接表現)
- NG:「死」「死亡」「生きていた頃」「苦しみ」
- OK:「ご逝去」「ご他界」「お亡くなりになる」
③ 縁起の悪い数字
- 「四(死)」「九(苦)」が入る表現は避ける。
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7. まとめ
弔電は、適切なマナーを守ることで、故人への敬意と遺族への思いやりを示すことができます。ただし、形式的な文章だけでなく、送る側の心を込めることが大切です。形式にとらわれず、故人の思い出や関係性を踏まえた言葉を添えることで、遺族にとってより温かみのあるメッセージとなるでしょう。
また、弔電を送る際には、遺族の気持ちを考慮し、簡潔かつ丁寧な表現を心がけることが重要です。特に親しい関係であった場合、故人とのエピソードを短く加えることで、より心のこもった弔意を伝えられます。その際、宗教や文化的な背景を尊重し、適切な言葉を選ぶようにしましょう。
加えて、弔電は時機を逃さず送ることが大切です。葬儀の直前や開始後に届いてしまうと、喪主や遺族に負担をかけることもあるため、できるだけ早めに手配することをおすすめします。葬儀の詳細が不明な場合は、故人の家族や葬儀社に確認し、適切なタイミングで送るとよいでしょう。
相手に寄り添う気持ちを持ちつつ、格式のある文章で弔意を伝えることが、適切な弔電の基本です。心のこもった言葉を選び、遺族に対して最大限の配慮をしながら送ることを心がけましょう。
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