
葬儀の現場に立つスタッフの中には、派遣という立場で働く人間も多く存在しています。葬儀社本体の社員ではないがゆえに、時には情報共有が不十分で、また時には“使い捨てのような扱い”を受けることもあるのが現実です。
この記事では、葬儀関連の現場で実際に派遣スタッフとして働いている私が、これまでに経験した「理不尽だな」と感じた言動を3つ紹介します。これは決して誰かを糾弾する目的ではなく、現場の空気感、そして派遣で働く人々のリアルな気持ちを共有したいという想いから書いています。
1. 焼香案内できないだけで「呼んだ意味ない」と言われた話
ある日、本部から「明日は◯◯斎場へ行ってください」とだけ指示がありました。現場に到着すると、ある葬儀社の担当者にいきなりこう聞かれました。
「焼香案内できる?」
やり方はなんとなく知っている。少し気をつけることや、随所確認すれができるはず。「少し教えていただけれができると思います。」と、言ったよ! でも、実際にやったことはない。だから正直に、「やったことはないです」と答えました。
するとその担当者は「マジかよー!」と呆れたように言い、「ちょっと待って、本部と連絡取ってくるから控え室にいて」と言われました。
数十分待機し、その間も自分なりに会葬者の誘導などをしながら時間をつぶしていました。そしてしばらくしてその担当者と二人きりになった時、突然、大きな声でこう言われました。
「ちょっと厳しいこと言うけどさ、焼香案内もできないんじゃ〜呼んだ意味ないんだよねーー!」
正直、心の中で「知らんがな」と叫びました。本部からはそんな指示一切聞いていないし、そもそも担当者と本部の連携ができていなかっただけの話。後から本部に確認したところ、やはり「そんな依頼はしていない」とのこと。
最終的に「もう帰っていいよ」と言われ、腹立たしい気持ちを抑えながら「お疲れ様でした」とだけ伝えてその場を後にしました。
あの言葉は今でも忘れられません。

2. 指示された通り動いたのに「良けーなことするんじゃねーよ!」
また別の日、忙しくてバタバタした葬儀現場。ある担当者に「交通誘導してきて」と指示を受け、霊柩車の出棺がスムーズに進むよう配置につきました。
しかし、そこへ別の葬儀社のスタッフが現れ、開口一番、
「良けーなことするんじゃねーよ!」
と強い口調で怒鳴られました。
こっちは頼まれてやってるだけだっつーの。心の中ではそう思っても、現場の空気を壊さないように、ただ「すいません」と謝るしかありませんでした。
こういう場面、実は少なくありません。指示系統が曖昧で、誰が何を把握してるのかわからないまま作業が進むことがよくあるんです。
派遣スタッフって、板挟みにされやすい立場です。「あの人に言われました」と言えば言い訳がましく聞こえるし、黙っていれば責任を押し付けられる。
だからこそ、言いたい。「言い方ってあるだろ」と。

3. 知らないことを責めるな。教え方で人は変わる
またある日、現場で突然「〇〇して!」とだけ言われました。
でも、その「〇〇」が何を指しているのか分からず、オロオロしてしまいました。すると、もう一度、今度は語気を強めて、
「〇〇して!!!」
それでも分からず、「〇〇って何ですか?」と聞くと、
「〇〇だよ!!!」
……はい?
いや、申し訳ないけど、知らないものは知らない。派遣だからといって、すべての作業や用語を熟知しているわけではありません。
本当に“良い葬式”にしたいのであれば、その場で怒鳴るのではなく、必要な手配をして、式が終わったあとに「今度からこうしてくれると助かるよ」と教えてくれればいいんじゃないでしょうか。
現場で大声を出して誰かを萎縮させたところで、式の質が上がるわけじゃない。むしろミスやトラブルのもとになるだけです。
正しい指導と、ただのマウントの取り違え。それが一番迷惑で、現場の空気を悪くするんです。

派遣だからこそ見えることもある
派遣スタッフは、その現場、その日だけのために来る存在かもしれません。でも、だからこそ見える景色、感じる空気があります。
「ここの現場は連携が取れていて気持ちいいな」 「ここは指示が曖昧で、怒鳴られることが多いな」
現場ごとにいろんなカラーがありますが、共通して言えるのは「人の言い方や対応ひとつで、仕事のしやすさがまるで違う」ということです。
派遣という立場は、確かに脆いかもしれない。けれど、その中でも真剣に、誠実に働いている人たちがいます。そのことを、少しでも知ってもらえたらと思っています。

最後に
この記事は、ただの愚痴ではありません。
派遣スタッフの立場から見た“現場の理不尽”を伝えることで、少しでも葬儀業界の現場改善につながってほしい。怒鳴る前に、まずひと呼吸置いてほしい。「なぜこうなったのか」を一緒に考えてくれる現場が、もっともっと増えてくれたらと心から思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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