第1章:「あれ、なんの建物?」——多摩モノレールから見える謎の施設
多摩センターから立川方面へ向かうモノレールに乗っていると、ある区間で突如として目の前に現れる巨大な建物があります。ガラス張りで堂々たる佇まい。しかも、休日になるとその周辺に人がどんどん集まってくる。
🪦お墓を維持する?それとも墓じまい?5年、10年、40年後の総額を徹底比較
「なんだあれ……?」 「イベント会場?」と首をかしげた方も多いのではないでしょうか。
実はこの建物、宗教法人「真如苑(しんにょえん)」の総本部「応現院」なのです。そしてこの光景こそ、今もなお信者数を伸ばし続けている“伸びる宗教”の一端を象徴する現場でもあります。

第2章:真如苑とは?
真如苑は1936年に伊藤真乗(しんじょう)師によって創立された仏教系の在家宗教団体です。真言宗醍醐派の伝統を受け継ぎつつも、より一般生活者に開かれたスタイルで信仰を広げていきました。
「大般涅槃経」などの大乗仏教経典を教義の中心に据え、独自の修行法「接心(せっしん)」を通して、悩みの解決や精神の成長を目指す点が特徴です。
現在では東京都立川市を拠点とし、国内各地に支部を持つほか、アメリカ・ヨーロッパ・アジアにも拠点を展開。信者数は国内で約90万人、海外を含めると100万人を超えると言われています。
【PL教団のお布施はいくら?】月1,000円から始まる“信仰と献金”の実情とは!?
第3章:「伸びてる」って本当?数字で見る真如苑の成長
真如苑の信者数の伸びは、実際にデータでも確認できます。
- 1995年:国内信者数 約73万人
- 2015年:約93万人(約20万人増加)
- 2024年現在も、減少の傾向は見られず、信者の高齢化も比較的少ない
宗教界全体では信者数の減少が問題となっているなか、真如苑のように増加傾向を維持している団体はごくわずかです。
さらに、立川市に構える「応現院」をはじめとした施設の規模や設備の豪華さは、経済的基盤の強さを物語っています。土地開発、美術館建設、地域支援など、宗教団体としては異例の“公共性の高い投資”を続けている点も注目されています。

【意外と知られていない】立正佼成会とは?信者が多い地域と現在の活動状況を徹底解説
第4章:なぜ人が集まるのか?真如苑の魅力とは
1. 接心という修行スタイル
真如苑では、祈りや瞑想を通じて自己と向き合う「接心」という修行法が核となっています。これは「悩み相談」「心のカウンセリング」のような役割も果たしており、
- 精神的に不安定な時期
- 家族や人間関係に悩むとき
といった人生の節目に、頼りたくなる“寄りどころ”として支持を集めているのです。
2. 強力な組織力と運営
真如苑は信者による奉仕活動(布教・事務・清掃・行事運営など)が非常に活発で、強固なコミュニティを築いています。たとえば以下のような具体的な活動が行われています。
- 礼拝施設の清掃奉仕や案内係(「苑務奉仕」)
- イベント時の受付や交通整理、子どもの見守り活動
- 遠方の高齢信者の送迎支援やお声がけ活動
- SNSや公式サイトを使ったデジタル布教や若年層向けの情報発信
こうした活動によって、教団内のつながりが自然に生まれ、世代を越えたコミュニティとして機能しています。
3. 社会貢献活動
災害支援、地域福祉、高齢者支援、教育支援など、多方面で社会的活動を展開。「宗教団体=閉鎖的」というイメージを払拭し、地域からも一定の信頼を得ています。具体的には、
- 阪神淡路大震災・東日本大震災・熊本地震などでの被災地ボランティア派遣と義援金支援
- 全国の福祉施設・障がい者施設への支援物資提供
- 小中学生向けの無料学習支援活動「しんにょ子ども教室」
- 海外の難民キャンプへの衛生物資・医療機器提供(UNHCRとの連携)
これらの活動は宗教色を前面に出すのではなく、「地域の一員としての貢献」を重視しており、宗教に抵抗感がある人々からも受け入れられています。
第5章:実際に見た「吸い込まれる人々」
筆者が多摩モノレールで見かけた、あの異様なほど整然とした人の流れ——。 建物に向かって静かに歩く人々の姿は、まるで何か強い磁力に引き寄せられているようでした。
調べてみて分かったのは、それが単なる「信仰」や「お参り」だけでなく、人々が自分を見つめ直すために訪れる“現代的な寺”のような存在だということです。

第6章:まとめ|真如苑とは、「時代に適応する宗教」だった
多摩の風景に突如現れる巨大建築。そこに集まる人々の姿を見て、最初はただの宗教施設と思っていましたが、今では“現代の不安に寄り添う信仰空間”だと感じています。
真如苑は、閉鎖的ではなく、都市で生きる人の心に寄り添いながら、進化を続けている宗教です。
多摩モノレールであの建物を見かけたら、その背景にある意味にも少し思いを巡らせてみてください。
