はじめに|なぜ真如苑の構造は“わかりにくい”のか?
真如苑は、新宗教の中でも特に複雑な内部構造を持つ団体の一つです。見た目の規模や表面的な活動以上に、信者間の階層構造や宗教法人としての制度的な枠組みが綿密に構築されています。
本記事では、初めて真如苑に触れる方にも理解しやすいように、同教団の組織図を図解や具体例を交えながら解説していきます。

第1章|真如苑のトップ構造──教団の“中心”とは?
真如苑は、1936年に伊藤真乗(いとう・しんじょう)氏によって設立されました。彼は、仏からの「法灯(霊的な継承)」を受けたとされ、開祖として絶対的な精神的権威を持ちます。
現在の継主は、開祖の次女である伊藤真聰(いとう・しんそう)氏です。教団では「継主(けいしゅ)」と呼ばれ、宗教的・組織的なトップとして活動しており、開祖からの霊統を受け継いだ存在とされています。
真如苑では、「カリスマ」という言葉は公式には用いられませんが、継主は霊的指導者として実質的にカリスマ的な存在であると見なされています。
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第2章|包括法人と被包括法人──宗教法人法上の位置づけ
真如苑の組織構造を理解するには、まず「包括法人」と「被包括法人」という宗教法人法上の概念を知っておく必要があります。 真如苑は「宗教法人 真如苑」として、宗教法人法に基づく包括法人の認可を受けています。
包括法人とは、複数の被包括法人(支部・寺院など)を統括・指導する法人であり、真如苑の場合は、真澄寺(しんちょうじ)など14の寺院が被包括法人としてその傘下にあります。
また、全国に存在する「◯◯精舎」や「◯◯支部」などの施設も、宗教法人真如苑の指導・管理下に位置しています。
第3章|「経親」と「経」──信者ネットワークの構造
信者同士の結びつきや、教義の伝達方法には独自の仕組みがあり、その中心にあるのが「経」と「経親」の制度です。 真如苑の信者は「経(けい)」と呼ばれる小グループに属し、それぞれに「経親(けいしん)」と呼ばれる導き手が存在します。
経は、数十から数百世帯で構成される信者の単位であり、経親はその精神的な指導者として、教義の伝達や日常的な信仰支援を担います。
信者間の縦のつながりを重視するこの構造は、人間関係と信仰の“縁”をベースに成り立っています。

第4章|霊能者という存在──信仰と修行の要
霊能者の存在は、真如苑の修行体系と信者の精神的支柱として欠かせない役割を担っています。 真如苑には、「接心(せっしん)」と呼ばれる修行を経て認定される「霊能者(れいのうしゃ)」が存在します。
この霊能者は、霊的な視点から信者に対して助言を行ったり、接心を通じて精神的な導きを与えたりする役割を担っています。現在、日本国内だけでもおよそ1,600人以上の霊能者がいると推定されています。
霊能者の多くは、経親としても活動しており、信仰と組織運営の両面で信者を支える重要な存在です。
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第5章|図解で理解する!真如苑の組織構造
以下は、真如苑の組織構造を簡略化したピラミッド図のイメージです:
[包括法人:宗教法人 真如苑(継主)]
├── 被包括法人(真澄寺ほか)
├── 精舎・支部(全国に多数)
── 霊能者(約1,600人)
└── 経親(導き親)
└── 経(信者グループ)
このように、霊的な正統性を中心に据えた上下関係が明確に構築されています。
第6章|宗教社会学から見る「カリスマ」構造
真如苑の指導体系を社会学的に読み解くと、“カリスマ的支配”という概念が見えてきます。 社会学者マックス・ヴェーバーの理論によれば、「カリスマ的支配」は、日常とは異なる“特別な資質を持つ人物”によって成立する支配形態とされます。
真如苑においても、開祖や継主のような存在は「法灯を継いだ霊的正統者」として、信者から特別視される存在です。彼らの指導力は、単なる組織運営ではなく、“霊的な導き”として機能しています。
こうした構造は、企業組織とは異なり、「霊的ヒエラルキー(上下関係)」が信仰と組織の両方を支える基盤となっているのです。

まとめ|真如苑の組織構造から見える信仰の実態
ここまで見てきたように、真如苑の組織構造は単なる管理システムではなく、霊的な意味づけを含んだ人間関係と指導体制が巧みに組み込まれています。 真如苑の組織構造は、一見すると複雑に見えるかもしれません。しかし、その本質は「霊的な正統性を軸とした信仰と支配のネットワーク」です。
包括法人という制度、継主と霊能者による霊的指導、経親を通じた信者ネットワーク──これらすべてが連動し、真如苑という巨大な宗教組織を支えています。
この構造を理解することは、真如苑の教義や信者の行動原理を読み解く上で、非常に有用です。