
【導入】統一教会の特徴
統一教会(正式名称:世界平和統一家庭連合)は、1954年に韓国で文鮮明(ムン・ソンミョン)によって創設されました。キリスト教をベースとしつつも、独自の神学書『原理講論』を信条とし、“メシア”としての文鮮明を中心に教えが展開されているのが大きな特徴です。
特に有名なのが、数千人から数万人規模に及ぶ合同結婚式「祝福結婚」や、教団独自の世界観を用いた“霊感商法”の問題などです。近年では「世界平和統一家庭連合」という名称が正式名称となりましたが、依然として「統一教会」という呼称が世間一般では多く使われています。
統一教会の主なポイント
- 独自の神学観
キリスト教の聖書解釈に加えて、文鮮明の著書『原理講論』が教理のベース。イエス・キリストの救済は未完成だったと解釈し、文鮮明が“第二のアダム”として神の摂理を成就する存在と位置づけられています。 - 合同結婚式(祝福結婚)
統一教会を象徴する行事であり、教団指導部の紹介やマッチングによって大人数が一斉に結婚式を挙げます。世界的に報道され、広く知られる儀式です。 - 世界平和と家庭の重視
教団名にも含まれるとおり、家庭を神聖な場所とみなし「真の家庭運動」を掲げます。政治家や有名人を招いたイベントや国際的な平和会議など、大規模な活動も特徴です。

【日本社会との摩擦】
日本では、かつて“霊感商法”が大きく社会問題化しました。壺や印鑑を高額で売りつける手法や、多額の献金が原因で生活が破綻するケースが相次いだことにより、消費者センターや弁護士団体が被害者救済に動いた歴史があります。
さらに2022年7月に起きた安倍晋三元首相銃撃事件では、容疑者が「母親が統一教会に多額の献金をして家庭が崩壊した」と供述したと報道され、一気に統一教会の問題が再注目される流れとなりました。その後、多数の政治家との関係や、教団関連団体との接点が明るみに出て、社会的な批判や法整備への関心が高まっています。
こうした経緯から日本政府は宗教法人法に基づく「質問権」を行使し、活動内容や財務状況などを調査。2023年10月には、世界平和統一家庭連合に対する解散命令の請求にまで至りました。裁判の行方や今後の教団活動の継続などをめぐって、議論が続いているのが現状です。

【メイン】統一教会の葬儀に参列する際の注意点・勘違い・よくあるミス
統一教会の葬儀は、一般的な日本の仏式やキリスト教式とも異なる独自のスタイルを採用しています。彼らは葬儀を「聖和式(せいわしき)」と呼び、故人が“霊界へ旅立つことを祝福する”という考え方を強調します。以下、参列時に気をつけたいポイントや勘違いをまとめました。
1. 葬儀の呼び方・考え方
- 呼称は「聖和式」
葬儀というより、故人の“昇天”を祝う儀式として位置づけられます。悲しみよりも「新たな出発をお祝いする」イメージが強いのが特徴です。 - “ご冥福をお祈りします”は控えたほうが無難
仏教的な表現であり、統一教会の神学観とはズレが生じるため、代わりに「安らかに聖和されますように」といった言葉が好まれます。
2. 服装の注意点
- 白や明るい色を着用するケースが多い
統一教会の葬儀では「死は悲しむべきことではなく、神様のもとへ帰る祝福」という考えがあります。そのため、参列者が白い服を着て式に臨むことも。 - 黒い喪服でも許容されるが事前確認は必須
どうしても白い服を用意できない場合や、遺族の意向で黒喪服を着る場合もあります。判断に迷ったときは、遺族や教会関係者に問い合わせましょう。 - 控えめな装いを心掛ける
明るい雰囲気とはいえ、派手すぎるファッションやアクセサリーは避けたほうがベターです。
3. 香典・弔意の伝え方
- 表書きは「御聖和」が一般的
仏式の「御霊前」「御香典」は使用せず、「御聖和」などと書くのが望ましいとされています。水引は黒白か双銀で問題ありません。 - 数珠は不要
統一教会では数珠を用いないため、持参しても使う場面はありません。
4. 式の流れと参列時の振る舞い
- 焼香はなく、賛美歌や祈りが中心
仏式葬儀のような焼香や合掌は行いません。代わりに聖歌の斉唱や牧会者(教会の指導者)による説教、祈りの時間があります。 - 立ち振る舞いは周囲に合わせる
賛美歌を知らない場合は、無理に歌わずに静かに耳を傾けていればOKです。周囲の動きにあわせて座ったり立ったりすれば問題ありません。
5. よくあるミス・勘違い
- 「葬儀=黒い喪服が常識」と思い込む
統一教会では白や明るい色を着ることが多く、黒喪服のほうが浮いてしまう場合もあるため、必ず事前に確認しましょう。 - 「御霊前」「ご冥福をお祈りします」と言ってしまう
統一教会の考え方にそぐわない表現となる可能性が高いです。「安らかな聖和をお祈りします」など、少し言葉を選ぶのがベター。 - 焼香のタイミングを探してしまう
聖和式には焼香の習慣がなく、賛美歌やお祈りが中心です。慣れない方は戸惑うかもしれませんが、無理に前へ出ず、周囲の様子を見守っていれば問題ありません。 - 数珠を持参してしまう
統一教会に数珠は不要です。特に使う場面はありません。 - “普通の葬式”と比べて批判的に口にする
遺族や信者は「故人の旅立ちを祝福する」考え方を大切にしています。「変わってるね」「普通と違うね」など、無意識の言葉に気をつけましょう。

【結び】
統一教会の葬儀「聖和式」は、故人が霊界へ行くことを“祝福”ととらえる独特の考え方が前提になっています。日本の一般的な仏式葬儀の常識だけをもとに参列すると、服装や言葉遣いなどで戸惑ったり、誤解を生んだりする場面があるかもしれません。
しかし、基本的には遺族の意向に寄り添い、式の進行に合わせて丁寧に対応すれば、よほど大きな失礼にはなりにくいでしょう。黒喪服か白装束か迷ったときや、香典(御聖和)に関して分からないことがあれば、事前に遺族や教会関係者へ確認しておくのが安心です。
社会的には、献金問題や政治家との関係など、さまざまな摩擦や疑念が取り沙汰され続けている統一教会ですが、個人の弔いの場は別の次元で尊重されるべきものでもあります。適切なマナーや心配りをして参列し、遺族が大切にしている宗教観を理解する姿勢を持つことが、何よりも大切だといえるでしょう。
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