”相続トラブルで葬儀が進まず、遺体が宙ぶらりんになるケースとその回避策”

終活・エンディングノート

相続トラブルによって葬儀が進まず、遺体の引き取り手がいない――そんな事態は決して珍しくありません。家族が悲しみに暮れるべきときに、相続問題が原因で葬儀が進行せず、結果的に故人が長期間弔われないケースもあります。遺族同士の意見の対立が深刻化すると、故人の遺志を無視したまま決定が先延ばしになることもあります。

本記事では、相続争いによって葬儀が進まなかった具体例を紹介し、それを回避するための方法を詳しく解説します。


葬儀が決まらない理由:相続争いが原因

ケース紹介

ある兄弟がいました。父親が急逝し、病院からは遺体の搬送を急ぐよう求められていました。しかし、長男と次男の間で次のような押し付け合いが始まりました。

長男:「お前が面倒を見ろ!」

次男:「いや、お前が費用を出せ!」

もともと仲が悪かったわけではありませんが、遺産の分割を巡る対立が引き金となり、互いに責任を押し付け合う状態に。結局、

  • 喪主が決まらない
  • 葬儀費用の負担者が決まらない
  • 葬儀の内容について意見が対立する

といった理由で話がまとまらず、数日間、遺体が病院に留め置かれる事態となってしまいました。

家族間の対立が深刻化する背景

当初、長男は「親の面倒を見ていたのは次男だから、葬儀の手配も次男がすべきだ」と主張しました。一方で、次男は「長男のほうが収入が多いのだから、費用を負担するのは当然だ」と反論しました。

兄弟の間では、これまでの家族内の役割や経済状況、親との関係が異なっていたことから、それぞれに「自分が正しい」という思いが強く、互いに譲ることができませんでした。

また、

  • 長男は「簡素な家族葬でよい」と考えていたが、次男は「きちんとした一般葬にすべきだ」と主張。
  • 香典の扱いや、親戚の対応についても意見が分かれた。
  • 長男は「父の遺産の一部を葬儀費用に充てるべきだ」と考えたが、次男は「まだ遺産分割が決まっていないのにそんな話はできない」と拒否。

と、葬儀のすべての決定事項で対立が発生しました。

病院側の対応と第三者の介入

病院側も、遺体を長期間保管することはできず、「早急に搬送を手配してください」と通達。しかし、家族の話し合いがまとまらず、葬儀社への依頼も進みませんでした。

最終的に、

  • 亡くなった父の知人が仲裁に入り、兄弟の間を取り持つことに。
  • 親戚の一人が喪主を引き受けることで、一時的に対立を解消。
  • 兄弟間で費用負担を折半することで妥協点を見出す。

といった形で、ようやく葬儀が執り行われました。しかし、すでに亡くなってから一週間近く経っており、参列者の調整や火葬場の予約も困難な状況になっていました。

このようなケースは決して珍しくなく、実際には相続トラブルが原因で葬儀が長期間延期されることもあります。そのためにも、生前から葬儀や相続についての話し合いを行い、必要な準備を進めておくことが重要です。早い段階から計画を立てることで、遺族間の対立を避け、故人を心穏やかに送り出すことができるでしょう。


相続トラブルが葬儀に影響を与える理由

1. 葬儀費用を巡る争い

故人の口座は死亡後に凍結されるため、遺産があるにもかかわらず、すぐに引き出せないという状況が発生します。結果として、「誰が先に葬儀費用を負担するのか」で揉めることが多いのです。葬儀費用は、一般的に喪主が負担するケースが多いですが、その負担割合について親族間で意見が対立することも珍しくありません。

2. 喪主が決まらない

本来、喪主は葬儀の手配を主導する立場ですが、相続争いがこじれると「誰が喪主をするのか」で対立が生じ、葬儀の決定が遅れます。特に、親族が多い場合、誰が主導権を握るべきかで意見が食い違い、喪主が決まるまでに時間がかかるケースがあります。

3. 故人の意向が不明確

生前に「どのような葬儀を望むか」「誰を喪主にするか」が決められていないと、遺族間で意見が対立しやすくなります。特に、親の介護をしていたかどうか経済的な負担の違いが影響し、感情的な衝突が起こるケースが少なくありません。加えて、「どの寺院に納骨するのか」「どの宗派で葬儀を執り行うのか」など、葬儀の詳細についても意見が割れることがあります。


トラブルを防ぐための対策

1. 生前に葬儀について話し合う

「縁起でもない」と避けがちな話題ですが、事前に喪主を誰にするか、葬儀の規模をどうするか、費用の負担はどうするかを家族で共有しておくことが大切です。事前に合意が得られていれば、突然の訃報があった際にもスムーズに準備を進めることができます。

2. エンディングノートや遺言書を活用する

遺産分割だけでなく、葬儀の希望を文書に残しておくことで、遺族の混乱を防げます。特に、

  • 「どのような葬儀を希望するか」
  • 「喪主は誰にするのか」
  • 「どこに埋葬してほしいか」

といった事項を明確にしておくことが重要です。エンディングノートには、葬儀の形式や親族・友人への連絡先リストなど、具体的な情報を記載することで、よりスムーズな準備が可能になります。

3. 葬儀費用の準備をする

口座凍結後のトラブルを防ぐため、葬儀信託や終活保険を利用して、事前に費用を確保しておくのも一つの方法です。これにより、相続トラブルが発生しても、最低限の葬儀を滞りなく執り行うことができます。事前に支払えるプランを用意しておくことで、親族間の不和を防げる可能性が高まります。

4. 専門家への相談を検討する

相続トラブルが深刻化する前に、弁護士や行政書士に相談することで、円滑に解決できる可能性があります。特に、遺産分割協議や遺言執行の手続きが関係する場合、法律の専門家を介することで、公平な形で話を進めることが可能になります。


まとめ:故人を穏やかに送り出すために

相続トラブルによって葬儀が進まず、故人を長期間弔えないという事態は、家族にとっても大きな負担となります。本来、葬儀は故人を偲び、感謝と別れを伝える場ですが、それが相続問題のせいで台無しになってしまうのは非常に残念なことです。

そのためにも、生前から葬儀や相続についての話し合いを行い、必要な準備を進めておくことが重要です。早い段階から計画を立てることで、遺族間の対立を避け、故人を心穏やかに送り出すことができるでしょう。

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