葬儀後の火葬場、どうすればいい?納めの式と収骨のマナー

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人生でそう何度も経験することのない「葬儀」。その葬儀が終わると、多くの場合は火葬場へ向かい、実際に故人を送り出す最終段階に入ります。ただ、初めての経験であったり、地域や宗派によって違いがあることから、「どう動けばいいのだろう?」と不安に感じる方も少なくありません。本記事では、火葬場で行われる一連の流れやマナー、さらには直葬(火葬式)の場合の注意点などを、5,000文字弱で詳しく解説します。係員やスタッフ(“レディー”)の指示に従いつつも、最低限知っておきたいポイントを押さえることで、故人との最期の別れをしっかりと執り行いましょう。


1.火葬場とは?

火葬場は、故人を火葬し、お骨にしてお墓や納骨堂へとつなげるための施設です。日本の多くの地域では、火葬が義務づけられているケースが一般的であり、葬儀後に遺体が安置されている棺を霊柩車に乗せて移動します。火葬場の建物や設備は自治体や民間の運営形態によって異なり、施設が新しく綺麗なところもあれば、古くからの伝統を重んじた歴史ある場所も存在します。

同じ「火葬場」という名称でも、地域によっては「斎場」と呼ばれることもあり、葬儀式場と併設されているケースも。いずれにせよ、火葬場は非常に厳粛な場所であり、故人と最期のお別れを果たす重要な時間が流れる空間です。


2.火葬場へ行くまでの流れ

2-1.葬儀・告別式の終了

通夜が行われ、翌日に葬儀・告別式が営まれたあとの流れは、宗派や地域によって微妙に異なりますが、一般的には式場で故人に対するご焼香などのセレモニーが一区切りついた後、喪主をはじめとする遺族や親族、参列者が棺にお花を入れて「最後のお別れ」を済ませます。

2-2.出棺の準備

式が終わったら、葬儀社のスタッフや係員が棺を霊柩車へ運びます。この際にも「係員の指示」に従うことが大切。棺を運ぶのは親族が行うことも多いため、声が掛かったら協力して運ぶようにします。出棺の際に撒く花びらなど、地域独自の風習が残っていることも。わからない場合は遠慮なくスタッフに尋ねましょう。

2-3.火葬場へ移動

霊柩車の後をマイクロバスや自家用車でついて行きます。遠方でなければ、徒歩圏内に火葬場がある場合もありますが、多くは車両移動になるでしょう。この移動時間は、まだ葬儀の余韻が残り、悲しみや感謝が入り混じるひとときです。くれぐれも交通安全には気をつけ、事故のないよう移動しましょう。


3.火葬場に着いてからの流れ

火葬場へ到着すると、まず係員やスタッフが手続きや火葬許可証の確認などを行ってくれます。喪主や施主(費用を負担する人)、そして遺族代表が簡単な受付や手続きを進める場合もありますが、葬儀社のスタッフがほとんどを代行してくれることも少なくありません。大切なのは、慌てず落ち着いて指示に従うことです。

3-1.納めの式(火葬炉前でのお別れ)

棺を火葬炉へ納める前に、多くの火葬場で「納めの式」と呼ばれる小さなセレモニーが行われます。宗派によっては読経が行われたり、僧侶がお経やお祈りを捧げることもありますが、簡素に済まされるケースもあります。

このとき大切なのは、花を入れるときや合掌のタイミングを、スタッフの指示や僧侶の合図に合わせること。慣れない場所ですから、焦らず落ち着いて流れを見守りながら行動するとよいでしょう。

▪ 花を手向ける

親族や参列者が、一人ずつ棺に近づき、棺の中へ花を手向けます。最後のお別れの場面ですので、自然と涙がこぼれる方も多いかもしれませんが、それは決して恥ずかしいことではありません。むしろ、故人への深い想いを大切に受け止める時間です。

▪ 納めの式での挨拶

喪主や遺族代表によって、故人への感謝や参列者へのお礼が述べられることもあります。式において最終的な挨拶がなされる場面ですので、言葉が詰まったとしても問題ありません。無理のない範囲で想いを伝えましょう。

3-2.火葬の実施

納めの式を終えると、スタッフの操作で棺が火葬炉の中へと送られます。このときの様子は、地域によっては扉や窓越しに見ることができる場合と、完全に視界から遮られる場合があります。いずれにせよ、ここが本当に故人と物理的に別れる最終段階です。

火葬には通常1〜2時間かかります。そのあいだ、参列者や遺族は待合室などで待機することに。近年、快適な空間を整えた火葬場も増えていますが、それでもここは厳粛な場であることを忘れずに過ごしましょう。

▪ 待合室での過ごし方

  • 雑談や談笑は控えめに。悲しみを分かち合いながらも、周囲への配慮は大切です。
  • 携帯電話やスマートフォンの使用は必要最低限に。音が鳴らないようマナーモードに設定しておくと安心です。
  • 飲食が許可されている火葬場もありますが、節度ある範囲で行いましょう。スタッフに確認を取るのがベストです。

4.収骨(骨上げ)の作法と流れ

火葬が終わると、「収骨(骨上げ)」の儀式に移ります。ここでは火葬炉から取り出された遺骨を、遺族や親族が箸で拾い上げて骨壷へ納めていきます。

4-1.二人一組での骨上げ

日本の仏式葬儀の場合、二人一組で箸を使って骨を拾うのが一般的です。一人が拾い上げた骨を、もう一人の箸へ直接渡す「箸渡し」は避けましょう。これがタブーとされる理由は、故人の骨をつなぐのではなく、葬儀とは無関係の法事で行う儀式などの混同を避けるためや、古来の風習に基づくものといわれています。

4-2.足元から拾う理由

収骨は足の骨から順に拾うという風習があります。これは、故人が歩んだ人生を最後まで丁寧に送り出すという意味や、頭部(特に喉仏と呼ばれる部分)を最後にすることで、故人の象徴である仏様の形(人形)を保つなどの説が一般的です。地域によって頭から拾う場合もあり、一概には決まっていませんが、「地域のやり方」に従うことが失礼を避けるコツです。

4-3.喉仏(のどぼとけ)の特別な意味

収骨の際、最後に納められる部位として「喉仏」が特に重視されることがあります。仏像のような形に見えるともいわれ、非常に神聖な意味合いを持つ骨です。スタッフがどれが喉仏なのかを指示してくれる場合もありますので、わからないときはすぐに質問しましょう。


5.火葬後の流れと心構え

収骨を終えたら、火葬許可証が火葬済証に変わり、骨壷といっしょに受け取って帰ります。そのまま自宅へ向かうケースと、すぐにお墓や納骨堂に行くケースなど、地域や家族の事情によって異なります。

5-1.再び集まる場合(初七日や法要)

最近では、告別式に引き続き「繰り上げ初七日法要」を葬儀と同日に行うことも増えてきました。火葬後、式場や自宅に戻り、簡単な法要やお斎(おとき)を催すことがあります。法要は宗派や地域の風習に合わせて行われるため、準備は葬儀社やお寺とよく相談しておきましょう。

5-2.自宅での安置・お墓への納骨

火葬後すぐに納骨せず、自宅に安置する場合も少なくありません。四十九日や百箇日、あるいは一周忌など、一定の区切りが来てから納骨を行う家庭も多いです。その場合、仏壇や祭壇を用意し、遺骨を安置して遺影や花を飾り、故人を偲ぶ空間を整えましょう。


6.直葬(火葬式)の場合

近年、費用面や時間面の事情から「直葬」(ちょくそう)、あるいは「火葬式」と呼ばれる形式を選ぶ方も増えています。これは葬儀式場での通夜や告別式を行わず、故人が亡くなったあと、一定の安置期間を経て火葬場へ直接移動し、そのまま火葬するというシンプルな流れです。

6-1.直葬でも大切なのは故人を敬う心

直葬では葬儀が省略されるからといって、故人への思いまで簡略化されるわけではありません。火葬炉の前で花を入れたり、合掌や黙祷を捧げたりする時間は基本的に設けられるのが一般的です。ここでも、スタッフの指示を仰ぎながら、故人をしっかりと送り出す心構えを持ちましょう。

6-2.家族だけでお見送りするケースも

直葬の多くは、家族だけで行うケースがほとんど。参列者を広く募らないことも多いため、比較的静かで内輪の雰囲気のなかで火葬が行われます。式がなくても、収骨の作法や箸の扱いなどは変わりません。わからないときは都度スタッフへ確認し、気持ちのこもったお別れにしましょう。


7.マナーに悩んだらスタッフに相談を

繰り返しになりますが、火葬場での振る舞いや手順に迷ったときは、遠慮せずに係員やスタッフ(いわゆる“レディー”)に相談することが一番です。彼らは日々、火葬場の運営や葬儀社とのやり取りを通じて、マナーや地域独特の作法を熟知しています。「こんなことを聞いていいのだろうか?」と恐縮する必要はまったくありません。

  • 「花を入れる順番はどのようにすればいいですか?」
  • 「収骨はどこから始めればいいですか?」
  • 「喉仏とはどの部分ですか?」

といった素朴な疑問も、スタッフが丁寧に答えてくれるはずです。恥ずかしがらず、しっかり確認してから行動することで、トラブルやマナー違反を回避できます。


8.地域や宗派による違いを知る

日本国内だけでも、多様な文化や宗教があり、火葬場の施設の仕組みや儀礼、マナーには意外と差があります。例えば、キリスト教や神道の場合はお経や数珠が登場しませんし、地域によっては参列者全員にお茶菓子が振る舞われるケースもあります。

ただし、大枠となる作法や流れはほぼ同じです。花を手向け、合掌することはどの宗派や地域でも故人への敬意を示す行為ですし、収骨において箸渡しを避けるのも仏教圏で一般的なマナー。特別な風習があるときは、事前に葬儀社や先祖代々の慣習を知る家族に尋ねておくと安心です。


9.その他の注意点

9-1.服装について

火葬場では喪服が基本ですが、直葬の場合は大掛かりな式を行わないことから、平服で構わないとされることもあります。ただ、できる限り黒やグレーなど地味な色味を選び、故人をしのぶ場にふさわしい服装を心がけましょう。

9-2.香典や供物

一般的な葬儀後の火葬では、香典や供花をいただくことが多いものの、直葬では受け取らないケースもあります。これはご遺族の意向によって異なるので、案内状などに「香典辞退」と記載されている場合は、無理に渡す必要はありません。

9-3.子どもの連れ添い

小さいお子さんを連れて火葬場へ行くときは、音が響くような玩具は避ける、泣き出したときには速やかにあやす、など周囲への配慮が求められます。どうしても飽きてしまう可能性があるので、静かに遊べる絵本やぬいぐるみを用意するとよいでしょう。


10.まとめ:最期の別れを大切に

火葬場は、故人との物理的な別れを確定させる場所であり、人生でもそう何度も経験することのない大切な儀式のひとときです。悲しみの中で細かなマナーや作法を意識するのは大変かもしれませんが、葬儀社や火葬場のスタッフの指示に従って行動すれば問題ありません。

  • 迷ったらスタッフに確認を
  • 花入れや合掌のタイミングは、周囲の動きに合わせる
  • 収骨では箸渡しは避け、足元から順に骨壷に納める
  • 直葬の場合でも故人への敬意を忘れずに

焦らず、無理せず、故人を偲ぶ気持ちを最優先に行動することが何より重要です。火葬場での一連の流れがスムーズに進むことは、残された遺族にとっても心の整理につながる大切なプロセス。厳粛な場所であることを忘れずに、悔いのない見送りができるよう、ほんの少しだけ作法を頭に入れておくと安心でしょう。

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