葬儀の準備をする中で「故人が大切にしていた品を棺に入れてあげたい」と考える方は多いでしょう。
しかし実際には、火葬の際に棺へ入れてはいけないものが存在します。これは火葬炉の安全性や遺骨への影響、さらには環境への配慮などの理由によるものです。
本記事では、棺に入れてはいけないものとその理由、確認方法、そして代わりに入れられるものを解説します。大切な方を送り出す準備に役立ててください。

火葬の際に入れてはいけないもの
禁止される品物は大きく分けて4つの理由があります。
① 爆発・発火の危険があるもの
- スプレー缶(制汗剤・ヘアスプレーなど)
- ライター・マッチ
- 電池(リチウム電池、ボタン電池)
- ペースメーカー(必ず事前に取り外しが必要)
② 遺骨に悪影響を与えるもの
- ガラス製品(メガネ・香水瓶など)
- 陶器(茶碗・湯のみ)
- 金属製品(指輪・ネックレス・時計・硬貨など)
- 厚手の本やアルバム(燃え残る可能性あり)
③ 燃えにくい/環境に悪影響を与えるもの
- プラスチック製品(人形・玩具・ペットボトル)
- 化学繊維の衣類(ナイロン・ポリエステル)
- 合成皮革製品(靴・バッグなど)
- 大量の布類(ぬいぐるみ・クッションなど)
④ 火葬炉の温度管理に影響を与えるもの
- 大量の生花(少量なら可)
- 厚手の布団や毛布
- 大きな木製品(杖・扇子など)
- 水分を多く含む食品や飲み物

火葬場によってルールは異なる?
実は、火葬場ごとに禁止物のルールが異なります。その理由は以下の通りです。
- 火葬炉の種類や性能(古い炉では制限が厳しい)
- 自治体ごとの独自ルール
- 宗教的・文化的慣習
- 環境規制(有害物質の排出抑制など)
例えば、メガネや指輪が許可される施設もあれば、厳しく禁止されるところもあります。
「これくらいなら大丈夫」と判断すると、火葬後に「禁止品が混じっていた」と指摘されるケースもあるため、必ず事前確認が必要です。

確認するにはどうすればいい?
最も確実なのは、葬儀社へ直接確認することです。
確認ポイントの例:
- 「棺に入れてはいけないものは何ですか?」(基本確認)
- 「この火葬場では生花・手紙・メガネは入れて大丈夫ですか?」(具体的確認)
- 「もし入れられない場合、他の供養方法はありますか?」(代替案の相談)
火葬前のお別れの時間に手に持たせる形で添える、または別の供養方法を提案してもらえることもあります。

代わりに入れても良いもの
火葬場でもほぼ問題ないとされる品物には以下があります。
- 手紙やメモ
- 折り紙・千羽鶴
- 木綿や布製の小さなぬいぐるみ
- 少量の生花
- 木製の数珠や経本(厚すぎないもの)
- 故人の写真(フレームは避ける)
- 和紙に書かれた願い事やメッセージ
これらは燃えやすく、遺骨や火葬炉に影響を与えにくいため安心です。

まとめ|大切なのは「確認」と「思いを伝える工夫」
棺に入れる品物は「思いを形にする」大切な行為ですが、火葬場ごとのルールを守ることが第一です。
禁止されている品があっても、手紙や折り紙・写真などを工夫することで十分に気持ちは伝わります。
事前に葬儀社と相談しながら、故人らしいお見送りの形を整えてあげましょう。