〜仏式とは異なる“神式”のマナーと心得〜
1. 神道とは？
神道（しんとう）は、日本古来の自然崇拝や祖先崇拝を基盤とした宗教です。仏教やキリスト教のように明確な教祖や経典はなく、「八百万の神（やおよろずのかみ）」を信仰対象としています。日々の生活の中で神々への感謝や畏敬の念を表すことが重視され、神社での祭祀や年中行事を通じて神と人とのつながりを大切にします。
神道では「死」は“穢れ（けがれ）”とされ、仏教のような輪廻転生の思想は基本的に持ちません。そのため、死に関する儀式も仏式とは大きく異なり、「祖霊」として故人を祀っていく考え方が特徴です。
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2. 注意しなければいけないこと
仏式との混同に注意
神道の葬儀では「焼香」「念仏」「戒名」などの仏教的な要素はありません。その代わりに「玉串奉奠（たまぐしほうてん）」や「御霊祭」といった神式の儀式が行われます。
「御仏前」「御香典」はNG
香典袋に書く表書きは、
- 「御玉串料」
- 「御霊前」
- 「神饌料（しんせんりょう）」 などが適切です。「御仏前」「御香典」は仏教用語のため、使うと失礼にあたります。
数珠は不要
数珠は仏教特有の仏具であり、神道の儀式では使いません。持参する必要はなく、持っていても出さないようにしましょう。
3. 神道の葬儀の御作法
服装のポイント
- 喪服（黒のスーツ・ワンピースなど）で問題ありません。
- 清潔感があり控えめな装いを心がけましょう。
- 革製品（革バッグ・革靴）は“殺生”を連想させるため、避けたほうが無難です。
玉串奉奠（たまぐしほうてん）の作法
神道における中心的な儀式である「玉串奉奠」は、焼香の代わりとなる行為です。以下のように行います。
- 神職から玉串（榊の枝に紙垂をつけたもの）を受け取る
- 胸の高さで持ち、一礼する
- 玉串を時計回りに回して、根本を神前に向けて供える
- 二礼（二度深く礼）→ 二拍手（音を立てないしのび手）→ 一礼
- 神前を下がり、軽く一礼して席に戻る
この作法は初めてでも司会や案内に従って行えば問題ありません。
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忌明け・霊祭について
神道では、仏教の「四十九日」にあたる儀式として「五十日祭（いそかさい）」が行われ、ここで忌明けとなります。 また、十日ごとに「十日祭」「二十日祭」などが行われ、50日まで段階的に霊を鎮めていくのが特徴です。その後は「百日祭」「一年祭」「三年祭」といった年忌法要に相当する霊祭が続きます。
4. まとめ
神道のお葬式では、仏教との違いを理解したうえで参列することが大切です。とくに次のポイントを押さえておきましょう：
- 「御玉串料」など、正しい香典表書きを選ぶ
- 数珠や焼香は不要
- 玉串奉奠の作法を事前に確認しておくと安心
- 革製品はなるべく避け、清潔な喪服で参列
神道の葬儀は、故人を「祖霊」として敬い、静かに感謝の気持ちを捧げる場です。仏式とは異なるからこそ、その違いを理解して丁寧にふるまうことで、遺族にも安心してもらえる参列になります。
