「逃げることは悪くない」──シェルターへ向かったAさんから学ぶ“生き延びる勇気”

家庭問題


はじめに|“逃げること”が許されない空気の中で

日本では、「逃げる=悪いこと」という空気がまだ根強くあります。
「頑張らなきゃ」「我慢しなきゃ」「子どもがいるんだから」——
そうやって自分を追い詰め、限界を超えてしまう人が少なくありません。

でも、本当にそうでしょうか?
逃げることは、弱さではなく“生きるための行動”です。
今日は、そんなことを教えてくれた一人の女性、Aさんの話をしたいと思います。

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Aさんの話──笑顔の奥にあった“静かなサイン”

Aさんは、うちの長男と同い年の息子さんを持つお母さんでした。
保育園で一緒になり、最初の印象は「明るくて」「優しそうで」「可愛らしい人」。
誰にでも好かれそうな、柔らかい雰囲気の方でした。

気づけばAさんは、1年おきに次々とお子さんを出産していました。
最終的に5人。4人目までは男の子、5人目で待望の女の子が生まれました。
「やっと女の子なの!」と嬉しそうに笑う姿は、見ているこちらまで幸せな気持ちになるほどでした。

一見、とても賑やかで幸せそうな家庭。
でも、その笑顔の奥に“静かなサイン”があったのかもしれません。


夫の姿に感じた違和感

Aさんのご主人を、私は保育園では一度も見かけたことがありません。
ある日、偶然見かけたときに強い印象を受けました。

目を合わせず、うつむき加減。言葉も少なく、
Aさんに促されてようやく動くような、どこか閉ざされた雰囲気の人でした。
優しそうにも見えるけれど、何かに怯えているような、そんな印象。

長男くんは、外から見れば朗らかで優しい性格でしたが、
軽い発達障害があると診断されていたそうです。
Aさんは、家庭のこと、育児、そしてご主人との関係——
そのすべてを、一人で背負っていたのかもしれません。


ある日届いたLINE──「今までありがとうございました」

ある午後、妻のスマホにLINEが届きました。
送り主は、Aさんでした。

『今までありがとうございました。
これから子供5人を連れてシェルターに行きます。
今まで私を支えてくれた皆さん、本当にありがとうございました。
皆さんからの優しさにお返しはできませんが、
これからの皆様の幸せを祈っています。』

まるで“最後の挨拶”のようなメッセージでした。
読む手が震えました。

一体何が起きたのか、どこに行くのか、誰もわかりません。
けれど、その一文の中には確かに、**「助けて」**という声が隠れていたのだと思います。

僕たちは、ただ立ち尽くすしかありませんでした。
事実を受け止めるしかなく、
Aさんと子どもたちの無事を祈ることしかできなかったのです。


シェルターという「命を守る避難所」

幸いなことに、Aさんには“逃げる場所”がありました。
それが、シェルターです。

シェルターとは、DVやモラハラ、経済的支配など、
家庭内で身の危険を感じる人が避難できる施設のことです。
全国の自治体やNPO、民間団体が運営しており、
母子家庭・子連れでも受け入れが可能です。

多くのシェルターでは、

  • 一時的な住居の提供
  • 食事・生活用品の支援
  • 心理カウンセリング
  • 弁護士や行政書士による法的サポート
    などが行われています。

Aさんは、きっと誰かに相談したか、あるいは自分で調べて辿り着いたのでしょう。
その“逃げる勇気”が、彼女と5人の子どもの命を守りました。


「逃げる」ことは弱さではない

私たちはよく、「逃げたら負け」と言います。
でも、それは間違いです。

本当に苦しいとき、逃げるという選択を取れる人は、
「生きたい」と思っている証拠です。
逃げることで、命がつながり、未来が生まれるのです。

Aさんは、家庭の中で孤立しながらも、
最後の力を振り絞って「逃げる」決断をしました。
それは、母として、人として、最大限の勇気ある行動でした。


苦しいときにしてほしい3つのこと

もし、今このブログを読んでいるあなたが、
「もう限界かもしれない」と感じているなら、
どうか、以下の3つだけ覚えておいてください。

① 逃げ場所を探す

自治体の相談窓口、NPO法人、女性センターなど、
“逃げてもいい場所”は必ずあります。
ネットで「シェルター+地域名」と検索してください。

② 誰かに「もう無理」と伝える

家族や友人でなくても構いません。
カウンセラー、SNSの相談窓口、支援団体。
どんな形でも「助けて」と言葉にしていいんです。

③ 「今日を生き延びる」ことだけを目標にする

明日のことは考えなくても大丈夫。
今日を乗り越えた、それだけで立派なことです。
あなたの命は、それだけで十分価値があります。

中央線のオレンジは本当に飛び込みを誘発するのか?


逃げることは、生きること

Aさんのように、笑顔の裏で苦しんでいる人は少なくありません。
けれど、彼女が選んだ“逃げる勇気”は、
間違いなく、命をつなぐための正しい選択でした。

逃げることは、負けではありません。
あなたの人生を守るための行動です。
そして、それを恥じる必要なんて一つもありません。


まとめ|生き延びる勇気を

人は誰しも、限界を感じるときがあります。
でも、限界を超える前に逃げていい。
それが“生きるための避難”です。

Aさんが見せてくれたのは、
「逃げても、生きていい」という希望でした。

今日を生き延びること。
それだけで、もう十分立派なことです。
あなたの未来は、まだ終わっていません。

🟤「エタ・非人と葬儀――知られざる差別の歴史と死の送り方」

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