格安葬儀の最大の落とし穴──“外部委託の仕組み”を知らないまま頼むと危険です

葬儀の基礎知識

葬儀の最大の落とし穴

「外部委託(下請け)の仕組み」を知らないと後悔する理由

近年人気の「シンプル葬」「格安葬儀」。
よりそう・小さなお葬式・イオンなど、
“全国どこでも同じ品質” をイメージしてしまいがちですが——
実はこの認識には大きな誤解があります。

格安葬儀の最大の弱点は、外部委託(下請け)構造にあります。
この仕組みを知らないと、当日に“え?聞いてない…”という事態になりやすいのです。

ここでは、現場で働く葬儀人の視点から、
格安葬儀の裏側と注意点を解説します。


1. 格安葬儀は“外部委託”を前提に成り立っている

よりそう・小さなお葬式・イオンなどの格安サービスは、
全国展開しているように見えますが、実際には本部が現場を担当することはほぼありません。

● 実際に現場を担当するのは“地元の葬儀社”

遺族が当日会う担当者は、
サービス名の会社ではなく 地域の別葬儀社 です。

具体的には…

  • 司会 → 外注スタッフ
  • 花屋 → 外注
  • 搬送 → 別会社
  • 安置施設 → 委託
  • 式場運営 → 地元葬儀社

この「分業制」が格安葬儀の特徴です。

● “依頼した会社=担当者” ではない現実

よくある声が、

「よりそうに頼んだのに、来たのは地元の見たことない葬儀社だった」

これはまさに外部委託構造の結果です。

遺族は当日までその事実を知らないことが多く、
最初から不信感を持たせてしまうリスクがあります。


2. 外部委託の何が問題なのか?

ここからがもっとも重要な部分です。
クレームの多くは、この “下請け構造” が原因になっています。


① 責任の所在があいまい(クレーム迷子現象)

外部委託が増えるほど、

  • 遺族
  • 仲介本部(よりそう等)
  • 地元葬儀社
  • 花屋
  • 搬送
  • 安置施設

といった 複数の会社が絡む ようになります。

その結果…

● クレームが起きたときの典型例

遺族:
「供花の札が間違ってますよね?」

よりそう:
「担当葬儀社にご確認ください」

地元葬儀社:
「よりそうから届いた札情報なんです」

花屋:
「私は言われた通りに作りましたよ」

誰も責任を取らない“クレーム迷子”状態に。

これは格安葬儀で特に多いトラブルです。


② 伝言ゲームで情報が伝わらない

関わる会社が増えるほど、
“誰かが情報を取りこぼす” 可能性は一気に高くなります。

● 実際に多いミス例

  • 供花札の名前・順番が違う
  • 喪主の希望が司会に伝わっていない
  • 宗派の作法の食い違い
  • 会葬人数の認識違い
  • 火葬場の時間を共有できていない

当日トラブルの8割は、この“情報伝達ミス”が原因。

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③ 担当会社によって“品質ガチャ”が発生する

格安系は全国一律サービスのように見えて、
実際は 地域の下請け葬儀社のクオリティで差が大きい のが現実です。

● よくある状況

  • A地域:非常に丁寧で高品質
  • B地域:新人だらけで説明不足
  • C地域:多忙で余裕ゼロ
  • D地域:花屋の質が低く見栄えが悪い

遺族は担当会社を選べないため、
“運任せ(品質ガチャ)” になるのが最大の問題点と言えます。


3. 現場で実際に起きた“外部委託トラブル”

ここからは、実際の現場で本当にあったケースを紹介します。


● ケース①:よりそうに依頼 → 来たのは地元葬儀社

実際に私が担当した案件でも、初対面で必ず言われるのが、

「あなた、よりそうの人じゃないんですか?」

遺族の中では
「サイトで申し込んだ会社=当日来る会社」
というイメージが強いため、不信感が生じやすいのです。


● ケース②:供花札の名前が3件違う

依頼者 → よりそう → 地元葬儀社 → 花屋
という流れで情報が渡るため、
途中のどこかで “変形” してしまうことがあります。

「誰のミス?」と聞かれても、
全社が責任を回避するため遺族は余計に困惑します。


● ケース③:搬送と安置の連携がズレて遺族が待つ

搬送は別会社、安置室も委託。
夜間であればスタッフ数も少ないため、

  • 搬送が先に到着してしまう
  • 安置室が開いていない
  • 夜間スタッフが不在

といったトラブルも実際によく起こります。


4. 実は“現場スタッフ”にも苦しい事情がある

ここからは、あまり語られない 葬儀社側の本音 を紹介します。
この部分は読者が一番「裏側を知れた」と感じるポイントです。


① 仲介手数料が高すぎるから

よりそう・小さなお葬式などの仲介サービスは、
葬儀費用の 20〜30% を手数料として取ります。

● 例
30万円プラン → 仲介が6〜10万円
葬儀社の手残り → 約20万円

ここから人件費・花代・式場費が引かれるため
実質ほとんど利益が出ません。

→ だから葬儀社の本音は
「次回は直接うちに頼んでほしい…」
となるわけです。


② “口コミ・紹介”は葬儀社の生命線

葬儀社が一番強いのは、地域の

  • 口コミ
  • リピート
  • 紹介

です。

仲介を挟むと、次回も仲介経由になる可能性が高いため、
葬儀社側にメリットが薄くなります。

→ 本音では
「自社名を覚えて帰ってほしい…」
という願望が生まれやすいのは事実。

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③ 遺族と“顔を合わせるのは自分たち”だから

よりそうの担当者が来るわけではなく、
実際に遺族と接するのは 地元葬儀社のスタッフ

遺族は自然と

「この人たちが“よりそう”なんだよね?」

と考えがちです。

その流れの中で、何気ない会話で、

「うちは○○葬祭と言います」

と言ってしまう人が多いのは、ある意味“人情”でもあります。


💬 あなた(派遣)との立場の違いもリアル

あなたは「派遣と伝えるのはNG」と言われて仕事をしている。
これは正しい対応です。

しかし葬儀社の正社員の場合は逆で、
本音では“自社名を言いたい”構造になっている。

同じ現場でも立場が違うため、
行動が真逆になるのはごく自然なことです。


🔥 よくある現場の“本音トーク”

葬儀社スタッフが小声で…

「実はうち、自社でやるともう少し安くてサービスも厚いんですよ。
また何かあれば直接ご相談くださいね」

これは業界では本当に“あるある”です。
遺族も「この人にまたお願いしたい」と思う流れが自然に生まれるため、
こうした会話が起きやすくなります。


5. 外部委託型の葬儀で後悔しないためのチェックリスト

格安葬儀でも後悔しないために、事前に次の点だけ確認しましょう。


① 実際に来る“現場担当会社”を確認する

  • 実際に来る葬儀社の名前
  • 担当者が誰になるのか
  • 外注の有無

これだけで大きく安心感が変わります。


② 外注が多い理由を理解しておく

  • 本部は仲介であり現場担当ではない
  • 説明不足は起きやすい
  • 細かい希望は紙にまとめて渡す

③ 地元葬儀社に直接相談する選択肢も残す

料金は3〜10万円ほど変わることがありますが、
責任の一元化・サポートの厚さ は大きなメリットです。


まとめ:仕組みを知ることが“後悔しない葬儀”につながる

格安葬儀は便利で費用も抑えられますが、
外部委託が多いという構造上の弱点も持っています。

安さには理由があり、仕組みを知って選ぶことが一番の防御策。

これを理解しておけば、
「安いのに満足できた」という葬儀を実現できます。

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