年末年始は、多くの人にとって「家族が集まり、ゆっくり過ごす時期」です。
しかしその一方で、もしもの不幸は時期を選んでくれません。
実際、葬儀の現場では
「年末年始だからこそ、判断が難しくなる」
「普段なら起きないトラブルが起きやすい」
そんなケースを何度も目にします。
この記事では、年末年始に葬儀が発生した場合に起こりやすい注意点と、
最低限知っておきたい準備のコツを、現場目線で整理します。

年末年始の葬儀で起こりやすい3つの現実
① 火葬場・式場が通常通り動かない
年末年始は、火葬場や斎場が
- 完全休業
- 受け入れ件数を制限
- 予約が集中して数日待ち
といった状態になることが珍しくありません。
特に12月30日〜1月3日前後は、
「亡くなった当日は火葬できない」
「数日待つ前提で安置が必要」
という状況が現実的に起こります。
これは異常ではなく、毎年繰り返されている通常運転です。
② 葬儀社スタッフも“少人数体制”
年末年始でも葬儀社は稼働していますが、
多くの会社は最小限の人員で回しています。
そのため、
- 打ち合わせが簡略化されやすい
- 選択肢が少なくなる
- 即断即決を求められる
といった場面が増えがちです。
「説明が少なかった」「後から知った」
という不満が出やすいのも、この時期の特徴です。
③ 親族が集まりやすい=意見が割れやすい
年末年始は、
- 普段会わない親族
- 遠方の兄弟姉妹
が一気に集まりやすい時期です。
結果として、
- 葬儀の規模
- 日程
- 費用
- 宗教形式
について、意見がまとまらないケースも少なくありません。
「話し合う時間があるようで、実はない」
それが年末年始の葬儀の難しさです。
年末年始だからこそ気をつけたい判断ポイント
葬儀を“急いでやらなくてもいい”ケースもある
年末年始に亡くなった場合、
必ずしもすぐに通夜・葬儀を行う必要はありません。
実際には、
- 火葬場の再開を待つ
- 親族の都合を整理する
- 年明けに落ち着いて式を行う
という選択をするご家族も多くいます。
「今すぐ決めないといけない」と思い込まず、
できること・できないことを整理する時間を持つことが大切です。
費用は“割高になる可能性”を前提に考える
年末年始は、
- 安置日数が伸びやすい
- 追加人件費が発生しやすい
- 選べるプランが限られる
といった理由から、通常期より費用が上がる傾向があります。
ここで大切なのは、
「高いか安いか」ではなく、
何に費用がかかっているのかを確認することです。

事前にできる、最低限の準備
① 年末前に“近隣の火葬場情報”だけ把握しておく
難しい準備は必要ありません。
- 近くの火葬場の名前
- 年末年始の休業日
これを一度確認しておくだけで、
いざという時の混乱は大きく減ります。
② 葬儀社は「1社だけ」頭に入れておく
比較検討までは不要ですが、
- どこに電話するか
- 24時間対応か
この2点だけは、事前に決めておくと安心です。
年末年始は「探している時間」が一番のリスクになります。
③ 家族内で“延ばす選択肢”を共有しておく
「年末年始に亡くなったら、年明けに葬儀でもいい」
この一言を家族内で共有しておくだけで、
その場の焦りや衝突を防ぐことができます。
まとめ:年末年始の葬儀は“落ち着いていい”
年末年始の葬儀は、
決して特別でも、異常でもありません。
ただし、
- 制限が多い
- 判断が急かされやすい
- 情報が少ない
この3点が重なりやすい時期です。
だからこそ大切なのは、
「急がなくていい判断もある」と知っておくこと。
事前に少し知っておくだけで、
その時の後悔や負担は確実に減らせます。

