ニュースの「体を強く打って」という言葉の裏側

葬儀の現実

――報道が“直接的に書かない”理由

最近、あるご遺体を警察署まで引き取りに行った。
ニュースでは「交通事故で体を強く打ち…」と報じられていた案件だった。

だが、実際に対面した姿は――
ニュースの言葉から想像されるものとは、まったく違っていた。


ニュースで使われる「事故死の表現」には、意味がある

ニュースを見ていると、事故や死亡に関する表現には、どこか似通った言い回しが多いことに気づく。
それは偶然ではない。

報道には、意図的に選ばれた「言葉の型」が存在する。
それらは事実を隠すためのものではなく、事実を社会に伝えるための調整された表現だ。

以下は、事故・死亡報道でよく使われる代表的な表現と、そこに含まれている現実的な意味である。


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事故・死亡報道で使われる代表的な表現と、その含意

「全身を強く打って」

交通事故や高所からの転落、列車事故などで使われる表現だ。
複数箇所に重大な損傷があり、原因部位を一言で特定しづらい場合に用いられる。

「どこか一部を怪我した」というレベルでは済まない。
状況全体をまとめて伝えるための言葉でもある。


「頭を強く打って」

転倒事故や階段・浴室での事故、高齢者の事故死などで使われることが多い。
外見上は軽そうに聞こえるが、実際には致命的なケースが少なくない。

医学的な詳細を避けつつ、事故の重さを伝えるための表現でもある。


「意識不明の重体で搬送され、その後死亡」

事故直後に死亡確認がされていない場合に使われる。
形式上は「回復の可能性」を残しているが、到着時点ですでに極めて厳しい状態であることが多い。

時間的な猶予を持たせる、報道用のクッションと言える。


「死亡が確認されました」

事件性の有無が未確定な初報で多用される、最も事務的で中立な表現だ。
亡くなったという事実のみを伝え、死因や状況には踏み込まない。


「その場で死亡が確認されました」

明らかに致命的な状況で、救命措置が困難だった場合に使われる。
医療的な介入がほぼ不可能だったことを、間接的に示す表現である。

強い言葉ではあるが、具体的な描写は避けられている。


「激しく衝突し」

正面衝突や大型車両との事故、列車や構造物との接触などで使われる。
衝撃の大きさを伝える一方で、その結果としての損傷状態は語られない。

原因のみを前に出す言い回しだ。


「詳しい状況を調べています」

事故・事件の初動報道ではほぼ必ず使われる。
情報がまだ揃っておらず、断定を避けるための表現であり、後報がある前提でもある。


「〇〇とみられています」

死因の推定や事故原因、事件か事故かの切り分け前に使われる。
断定を避け、法的責任を回避するための明確なサインだ。


「病院で死亡が確認されました」

一応は搬送されたものの、現場死亡と言い切れないケースで使われる。
実質的には助からない状態だったが、医師による正式確認を待ったという意味合いが強い。


「搬送先で死亡が確認されました」

「病院」という言葉すら避け、さらにぼかした表現だ。
医療機関名を出さない配慮や、地域性・遺族感情への配慮が強く表れている。


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なぜ報道は、ここまで言葉を選ぶのか

報道が直接的な表現を避ける理由は、いくつかある。

まず、遺族への配慮だ。
誰かにとっての最悪の瞬間を、そのまま公共の電波や文字に載せることはできない。

次に、二次被害を防ぐため
模倣、不必要な恐怖、心理的ショックを広げないため、表現は抑えられる。

そして、事実確認の問題
事故や事件の初動段階では、詳細がまだ確定していない。
断定的な表現は誤報につながる可能性がある。


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「嘘をついている」のではなく、「翻訳している」

報道は、現場の事実をそのまま伝えているわけではない。
社会が受け取れる形に“翻訳”している。

警察用語は報道用語へ、
医学的事実は一般向けの表現へ、
現場の現実は社会的に許容される言葉へ。

それは、事実を隠すためではない。
事実を、社会に届けるための作業だ。


ニュースを読む側に知っておいてほしいこと

ニュースは、「真実のすべて」ではない。
だが、「嘘」でもない。

そこには、
見せないという判断、
書かないという責任、
あえて曖昧にする優しさがある。

言葉が淡々としているからといって、
出来事が軽かったわけではない。


葬儀社・警察・報道、それぞれの立場の違い

立場見ているもの
警察事実・証拠
葬儀社現実と遺族
報道社会全体

同じ出来事でも、立場が違えば、見ているものが違う。
だから、使われる言葉が違うのは当然だ。

「体を強く打って」という言葉の裏には、
ニュースでは語られない現実が、確かに存在している。

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