はじめに|衆議院選挙と“減税ムード”
衆議院選挙が終わり、与党が安定多数を確保した。
各党が掲げていた政策の中でも、特に注目されたのが「消費税減税」だ。
生活費高騰が続く中、減税は分かりやすい政策であり、多くの有権者にとって響きやすい。
ではもし、実際に消費税が引き下げられたら――
葬儀業界はどうなるのか。
「葬儀は高い」
「少しでも安くなれば助かる」
そんな声は現場でもよく聞く。
しかし結論から言えば、
消費税が下がっても、葬儀の“構造”は大きく変わらない可能性が高い。
なぜか。
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葬儀はどこに消費税がかかっているのか
葬儀費用の多くは課税対象だ。
- 葬儀基本プラン
- 棺
- 祭壇
- 霊柩車
- 会場使用料
- 返礼品
- 会食
- 写真・印刷物
一方で、僧侶へのお布施は非課税。
仮に消費税が10%から5%になった場合、
150万円の葬儀なら約7万円前後の差が出る。
遺族にとっては決して小さくない。
だが――
ここで考えるべきは「数字」ではなく「構造」だ。

消費税が下がっても需要は増えない
葬儀は“消費行動”ではない。
旅行や家電のように
「今のうちに買っておこう」とはならない。
亡くなるタイミングは選べない。
つまり減税があっても、
葬儀件数が増えることはない。
起きるとすれば、
- 少しプランを上げる
- 直葬から家族葬に戻る層がわずかに出る
この程度。
しかも今の主流は、
- 小規模化
- 直葬増加
- 会食省略
- 返礼品縮小
これは消費税が原因ではなく、
人口構造と所得停滞の問題だ。
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現場目線で見る“価格のリアル”
もうひとつ大事な視点がある。
葬儀社は仕入れ業だ。
- 棺メーカー
- 花屋
- 返礼品業者
- 印刷業者
- 火葬場使用料
- 燃料費
これら全てに消費税がかかる。
減税になれば仕入れも下がるが、
同時に葬儀社は人件費・光熱費・施設維持費の上昇に直面している。
減税分がそのまま価格に反映されるとは限らない。
むしろ、
「値下げ」より「利益回復」に使われる可能性もある。
結果として、
消費税が下がっても“体感的に安くなった”とは感じにくい
これが現実だ。

では何が本当に業界を動かすのか
ここからが本題だ。
消費減税よりも、
葬儀業界に本質的に効く政策がある。
✔ 相続税改正
相続税の基礎控除や課税ラインが変われば、
「どこまで葬儀にかけるか」の心理が大きく動く。
相続対策が厳しくなるほど、
葬儀費用は抑えられる傾向が強まる。
逆に緩和されれば、
儀礼性は多少戻る可能性がある。
✔ 火葬場公営化
東京23区の多くは民営火葬場だ。
火葬料金は市場原理で決まる。
もし公営化や料金規制が進めば、
遺族負担は直接的に下がる。
これは消費税よりはるかに影響が大きい。
✔ 補助制度拡充
生活保護葬祭扶助の拡充や、
低所得世帯向け補助制度が整えば、
直葬一択だった層に
「選択肢」が生まれる。
これは社会的インパクトが大きい。
✔ 低所得層支援
実はこれが一番効く。
可処分所得が増えれば、
葬儀に限らず消費全体が回る。
葬儀の質も、
「削る」から「選ぶ」へ変わる。
消費税よりも、
実はここが核心だ。

与党長期政権と葬儀業界
仮に長期政権が続けば、
- 業界規制の維持
- 参入障壁の維持
- 火葬場構造の固定化
大きな構造変化は起きにくい。
安定はする。
しかし劇的には変わらない。
葬儀業界は
政治の影響を受けないようでいて、
実は制度の上に成り立っている。
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まとめ|減税は“表面”、構造は“奥”
消費税が下がれば、
確かに数万円は楽になる。
しかし、
- 葬儀の小規模化
- 直葬増加
- 家族葬中心化
この流れは止まらない。
本当に業界を動かすのは、
- 相続税
- 火葬場政策
- 補助制度
- 所得政策
つまり、
構造改革の方だ。
減税は分かりやすい。
だが本質はそこではない。
政治が変わるとき、
本当に見るべきは「税率」ではなく「制度」だ!!

