2026年度の税制改正では、相続税の基礎控除や税率そのものは変わっていません。
しかし――
不動産の評価方法に関する考え方が大きく変わる可能性があります。
特に影響を受けるのは、
- 相続直前に取得した賃貸不動産
- 不動産小口化商品
- 「不動産で節税できる」と聞いて動いたケース
今回は、実際の数字を使いながら
2025年までと2026年度の違いを具体的に解説します。
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ケース①:2025年までの評価方法(従来ルール)
前提条件
- 都内の賃貸マンション1棟
- 購入価格:1億円
- 実勢価格:1億円
- 路線価評価:6,000万円
- 借家権割合:30%
- 小規模宅地等の特例なし
▶ 計算方法(旧ルール)
賃貸用不動産の場合、評価額は以下のように計算されます。
6,000万円 ×(1 − 30%)
= 4,200万円
つまり、実際には1億円の資産でも
相続税評価は4,200万円になるという仕組みでした。
この「評価差」を利用した節税が、これまで広く行われてきた対策です。
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ケース②:2026年度(取得5年以内の場合)
2026年度では、
相続開始前5年以内に取得した賃貸不動産は、原則として時価(実勢価格)評価
とされる方向です。
同じ条件で、相続開始3年前に購入していた場合を考えてみましょう。
▶ 計算方法(新ルール想定)
実勢価格:1億円
→ そのまま評価
評価額:1億円

評価額の差
| 旧ルール | 新ルール | |
|---|---|---|
| 評価額 | 4,200万円 | 1億円 |
| 差額 | 5,800万円増 |
評価額が5,800万円増えることになります。
■ 相続税への影響(具体的試算)
仮に法定相続人が2人の場合。
基礎控除:
3,000万円+600万円×2人
= 4,200万円
▶ 旧ルールの場合
評価額 4,200万円
− 基礎控除 4,200万円
= 課税価格 0円
相続税なし
▶ 新ルールの場合
評価額 1億円
− 基礎控除 4,200万円
= 課税価格 5,800万円
仮に税率20%ゾーンの場合:
5,800万円 × 20% − 控除額200万円
= 約960万円
およそ1,000万円の税負担差が生まれます。
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では、5年以上保有していた場合は?
10年前に購入していた場合はどうでしょうか。
この場合は従来の路線価評価が適用される可能性が高く、
旧ルールに近い評価となる見込みです。
つまり、
- ✔ 長期保有は影響が小さい
- ✔ 相続直前の購入は影響が大きい
という構図になります。
不動産小口化商品も同様
1億円分の不動産小口化商品を購入した場合も、
- 旧ルール:評価6,000万円程度
- 新ルール:実勢価格1億円評価
となる可能性があります。
これまで「少額で節税できる」とされていた商品にも影響が出るでしょう。
今回の改正の本質
今回の変更は、
- 税率を上げる改正ではありません
- 基礎控除を減らす改正でもありません
しかし、
評価のズレを是正する改正
であるため、
「制度は同じでも、税額は増える」
という現象が起きます。

これから相続対策を考える方へ
不動産を活用した相続対策そのものが否定されたわけではありません。
しかし、
- 直前購入による短期的な評価圧縮
- 営業トークだけを信じた判断
- 税理士との連携不足
こうした対策は、より慎重さが求められる時代になりました。
2026年度以降は、
✔ 長期視点での資産設計
✔ 取得時期の戦略
✔ 税務リスクの確認
がより重要になります。
まとめ
2026年度の相続税改正で、
- 基本構造は変わらない
- しかし不動産評価は大きく変わる可能性
特に、
「相続前に不動産を買えば税金が下がる」
という単純な話ではなくなってきています。
これから対策を考える方は、
数字だけでなく“評価の仕組み”まで理解したうえで判断することが重要です。
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